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【 TV番組 魔導戦隊 マナレンジャー】
/ てれびばんぐみ まどうせんたい まなれんじゃー
 
昭和65年から66年にかけて、毎週日曜日の朝9:00〜9:25にTV放送された幻の特撮番組。前半は胸躍る冒険活劇で全国のお茶の間の子供達に夢と感動を与えたが、中盤からは目を覆うような残酷かつ陰惨なストーリーが展開され、視聴者におおいなるトラウマを植え付けた問題作である。

物語の前半では第六次聖剣戦争と呼ばれる大きな戦いが描かれ、ここで女性メンバーが三人も犠牲になっている。

その後、中盤からは第六次聖剣戦争の二十年後へと舞台が移り、初期メンバーの黄色の戦士と白の戦士の間に生まれた子供達3人が赤、青、ピンクの戦士となり、家族5人で第七次聖剣戦争を戦い抜き、最後の戦いへと挑む、という筋書きとなっていた。

戦隊シリーズの中では異色の二世代に渡る壮大な戦いの物語であり、その構成自体は意欲作と評価されてもよい作品なのだが、残念ながらそれ以上に暴力描写と性描写をいかに過激に描くかにチャレンジした作品である、というイメージの方が強い。事実、放映当初から多くの物議を醸していた。

まず、当作品の特筆すべき点は

「戦隊モノで女性メンバーが悪の組織にさらわれて、エロい事されないのっておかしくね?」

という大きなお友達の不満にしっかりと応えた作品であったことだ。

ストーリーの折り返し地点、前半の山場では初代女性メンバー達が悪の組織の罠に嵌り敗北。虜囚となり、悪の怪人達による常軌を逸した性的な虐待の犠牲となり、次々と死亡。物語の舞台から退場していく、という衝撃的な展開が用意されていた。
このような作品は長い特撮戦隊シリーズの歴史の中でも、後にも先にもこの魔導戦隊マナレンジャーだけである。

また、ストーリー全体の構成を見渡してみても、悪の組織が女性メンバーを狙うエピソードが他の戦隊シリーズと比べて圧倒的に多かったことも、この作品の大きな特徴である。

初代はもちろん、二代目女性メンバーのピンチシーンの描写も執拗に描かれていた。

加えて、後半からは主人公サイドであるにもかかわらず悪辣な作戦を立案して敵を屠っていく人物が大活躍した事も、この作品が問題作と言われるゆえんである。

「力なき正義など無力! 力こそが正義! 勝利こそが全て!」 などと主張する父親役の黄色の戦士が世界各地を駆けめぐり、戦慄のダークヒーローぶりを発揮。悪の組織以上に悪辣な作戦と残虐性で敵を追いつめていくストーリーが展開された。

その顕著たる例が、イギリスの地方都市スノーツリーを舞台とした特別編。
悪の組織の幹部の恋人を誘拐して拷問し、敵の情報を聞き出した上で人質として利用。幹部を脅迫し、仲間を売らせた上で恋人と共に射殺するという非道を平気でおこなう黄色の戦士の戦いぶりは、多くの子供達に「正義の為なら何をしてもいいのか」という葛藤を与えることになった。

当然のことながら、番組放映中にPTAやら教育機関から非難が殺到。

視聴率自体は目標数字を大きくオーバーしていたにもかかわらず、最終話目前にして放映が打ち切られたという悲劇の作品である。


しかし、番組放映から30年近く経過した現在では、その評価が高まりつつある。

戦隊モノのメンバーが、父と母、一人の息子と二人の娘の 『家族』で構成されていた事で、作品のテーマに家族愛が盛り込まれていたこと。戦隊モノにもかかわらず、普段は単独で活動し、世界各地で悪の組織を壊滅していく強すぎる黄色の戦士にして頼れる父親 『マナファザー』 のキャラクターは、後の多くの作品に影響を与えたと言われている。

また最終話目前で悪の首領に敗北し、徹底的な暴力で嬲られ続けた後で敵の本拠地へと連れ去れてしまった白色の戦士 『 マナマザー』 の結末がTV放送中では描かれなかったことが、結果的には多くの少年達の想像力を刺激することになり、その結末を自分達で創作しようとする行動を促すこととなった。実際、現在活躍するマンガやアニメ作家の中にはこの作品が同人活動のきっかけとなったと述懐する者が多い。今日のオタク文化の隆盛に少なからず貢献した作品であることは間違いない。

2017年には、番組終了から多くの歳月を経て、当時のシナリオ制作メンバーが結集。テレビでは描かれなかったマナマザーの結末を描く意欲作 『聖母、魔肛の祭壇』 がWEBノベル作品として提供することを発表。

現在、多くのファンがその完成を心待ちにしている。


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