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誰もが『魔導具』と呼ばれる道具さえ手にすれば、使う事ができる技術 ―― として『魔導』は社会全体へと普及していった。
一部の高等な技術は素養と修練の双方を必要とする点においては、魔導もまた他の分野の技術と同様。
しかし、魔導の特筆すべき点は、高等な技術になればなるほど、予備知識のない者の目には『神のごとき業』としか映らないほどの驚異的な事象を引き起こすことが可能な事である。
ひらたく言えば、魔導を極めた者は、そうでない者からは英雄や超人のごとき存在だったということだ。
英雄。
特別な力と魂を併せ持つ、真に優れた存在。
喜ばしき事に、当初、『魔導を極めし者達』 は、その大いなる力を大いなる責任のもと行使する英雄的性格の所有者ばかりであった。
聖なる愛を守り、義を為すために行使する英雄や超人達を、人々は 『 聖義の魔導 』 の体現者として崇め奉ったのである。
魔導の黎明期とは、その時代を生きる人々にとって理想的な時代であったと言えるかもしれない。
未知への挑戦、冒険と開拓、昂揚と憧憬。
『 聖義魔導 』(せいぎまどう)を行使する者しかいなかった時代は、魔導とは輝く未来を象徴するものだったのだ。 |
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