「この備前兼光の名刀で俺と伝助をわざわざここまで斬りに来たってわけだな。それがこんな結末となり、親の仇の前に一物をおっ立てて見せることになろうとは、へへへ、夢にも思っちゃいなかったろう」

熊造は武造の手から刀を受け取り、菊之助の盛り上がった臀部をピチャピチャと峰でたたきながら更につづけるのだった。


「だが昨日までのおめえはなかなか格好がよかったぜ。白鉢巻(しろはちまき)に白襷(しろたすき)、眼をキリリとつり上げてこの名刀を正眼に構え、おのれ、父の仇、いざ、勝負、ってな具合にな」

 熊造が悪のりして、刀を構え、物真似して見せると、酒気を帯びた雲助達はいっせいに黄色い歯をむき出してゲラゲラ笑い出す。
 熊造が手にしている兼光の名刀はずっしりと重みがあり、身幅の広い長身で、先反りも張っていたが、それを熊造はまたふざけて菊之助の屹立とくらべるようにし、

「この若衆の方が兼光より先反りの点じゃ一枚上だ」

 などといい、仲間達を笑わせるのだった。

「とにかく明日になりゃ、この兼光で手前のその一物はチョン切られるわけだ。兼光の試し斬りが出来ると重四朗先生は楽しみになさるからな」

 手前の刀で手前の股間の一物が斬られる事になろうとは夢にも思わなかったろう、と、熊造はくり返し菊之助に揶揄を浴びせてから、

「じゃ、一つ、仕上げてやろうか」

 と、刀を武造に返し、腰を据え直して菊之助の屹立を、再びしっかりと握り占めるのだった。
 ここで菊之助に対し、とどめを刺すかのように最後の赤恥をかかそうというわけだ。

「もうこうなりゃ、遠慮する事はねえぜ。気分が乗りゃ、皆さんの前でたっぷりしたたらせな」

 熊造は一気に菊之助を追い落とすべく、両手をからませて激しく揉み上げる。

「ううっ」

 たちまち菊之助の顔面は真っ赤に上気し始めた。
 包皮がはじけ、綺麗な紅色の生肉を露呈させた先端を片手で包み込むように持ち、たれ袋から付根あたりをもう一方の手で粘っこく撫でさすりながらゆるやかに揉みほぐす熊造の手管は、こんな稚児いじめの経験もかなりつんでいるものと見え、巧妙を極めていた。