「んじゃ、ラスボスのオジサン! 最後は派手にふっ飛んでね!」
マナピンクが朗らかに決めポーズで宣告し、
「長かった戦いもこれでオシマイ。まぁ、別に名残は惜しくないけれど」
マナブルーが、合体技マナトリプルアクセルの発動の最初の一手、ブルーターンの初期動作に入る。そして、
「そーそ。せめて最期は潔く散ってくれな!」
と、少年らしい軽快さでマナレッドが憎まれ口を叩きつつ、姉たちに続く。
……その先に。
ダグムが手に小さな魔導具を握りしめ、含み笑いを浮かべていることにただ一人、マナマザーだけが気づいたのだった。
ダグムの、その手に握られている魔導具。
それは秘宝『彼方への扉』の鍵。
そう。
タグムもまた、強制空間転移という切り札の一手を隠し持っていたのだ。
「いっくぞぉおお! マナトリプルアクセルぅうううッ」
三人のマナレンジャーが三色一束の光の槍となって、今まさにダグムを目がけて突っ込んでいこうとする、その先に。ダグムの体が蜃気楼のようにゆらめき、変化して待ち受ける。
「いけないッ!」
破滅的な未来を瞬時に予測し、マナマザーが弾けるように刹那の先を制して、三人の子供達より早く、ダグムの元へと飛び込んでいく。
ああっ、と短い悲鳴を上げる間も無く。
彼女の体は蜃気楼と化したダグムと共に姿を消した。
「母さん!」
必殺の合体技 マナトリプルアクセルを解除し、手を伸ばす子供たち。
しかし、その手が届くことは無かった……。 |